登録販売者試験、第三章の漢方の勉強をしていて全員がぶち当たる大きな壁が、この問題だと思います。確かに易しいとは言えませんが、解法のコツがあるのも事実です。この記事では、この問題についてお話しをしていきます。
大前提として、やみくもにすべて覚えようとするのは得策ではありません。なぜなら、例えばカンゾウの場合、7割以上漢方に含まれているので、全て覚えるのは実質不可能です。
なぜカンゾウ、マオウ、ダイオウが問題となるのか?
まず、これらの生薬がピックアップされて出題される理由を知っておくと、少し楽になります。それら生薬の効き目(または副作用)に答えがありますので、少し整理しましょう。意外にここが大事です。
すごくシンプルに書きますが、
カンゾウ
抗炎症成分(グリチルリチン酸など)が含まれる。偽アルドステロン症(むくみ、血圧上昇など)の副作用のリスクがある。
マオウ
交感神経刺激成分(エフェドリンなど)が含まれる。血圧上昇、心機能亢進などの副作用のリスクがある。
ダイオウ
大腸刺激成分(センナ、センノシドなど)が含まれる。下痢、腹痛の副作用のリスクがある。
では、これらの生薬が含まれる・含まれないの問題でよく登場する漢方を見ていきましょう。
この問題で頻出の漢方
これら3つの生薬を全て含む漢方
防風通聖散:ダイオウ、マオウ、カンゾウ全て含む
これらが3つとも含まれているのは、登録販売者試験に出てくる漢方の中で、防風通聖散のみになります。これが、「体力充実」している人が使える理由のひとつにもなっています。
。登録販売者試験だと防風通聖散のみがこれらの3つの生薬全てを含むので、最初に覚えましょう。ちなみに防風通聖散は「ナイシトール」という薬で一躍有名になりました。
名前が似ているため頻出の漢方
大柴胡湯:ダイオウ含む。カンゾウ含まない。
小柴胡湯:ダイオウ含まない。カンゾウ含む。
※覚え方:「大」柴胡湯は「ダイ」オウを含む、と覚えましょう。
温経湯:カンゾウ含む。
温清飲:カンゾウ含まない。
※覚え方:温経湯はウン「ケイ(K)」トウですので、カンゾウ(頭文字がK)含む、と覚えましょう。
風邪に使われる基本的な漢方
どの漢方も、風邪の時によく使われるとても基本の漢方です。これらはすべて、カンゾウ、マオウどちらも含むのでセットで覚えましょう。
これら2つの生薬がなぜ風邪に使う漢方に含まれるのかを考えた時、カンゾウには抗炎症作用がありますし、マオウには気管支拡張作用がありますので、なんとなく理解できると思います。
こちらの漢方は、「葛根湯」がベースの処方でセンキュウとシンイが加わった処方になります。ですので、葛根湯と同じく、カンゾウ、マオウの両方を含みます。ついでに覚えましょう。
咳症状に使われる漢方
カンゾウは抗炎症作用があり、マオウには気管支拡張作用があるので、咳症状に使われる漢方には基本的にそれらが含まれている、と考えると分かりやすいです。ですので、例外的にカンゾウやマオウが含まれていない漢方を覚えましょう。
半夏厚朴湯:カンゾウ含まない。
柴朴湯、麦門冬湯:マオウ含まない。
半夏厚朴湯は、登録販売者試験に出題される咳症状に使われる漢方の中で、唯一カンゾウが含まれないためか、超頻出となっています。
便秘に使われる漢方
ダイオウには大腸刺激作用があるので、便秘に使われる漢方には基本的に含まれている、と考えます。ですので、例外的にダイオウが含まれていない漢方を覚えましょう。
排尿トラブルに使われる漢方
カンゾウには体内の水の代謝に関わる副作用(偽アルドステロン症)があるので、基本的にはカンゾウが含まれない、と考えます。ですので、例外的にカンゾウが含まれる漢方がよく出題されます。
覚え方:竜胆瀉肝湯に「肝」という字が入っているので、「カン」ゾウが含まれると覚えます。
まとめ
他にも、これらの3つの生薬が含まれる・含まれないの問題では、特筆すべきことがたくさんありますが、到底ここには書ききれません。詳しくは弊社、東京マキア主催の講座で詳しくお話ししています。
アドバイスとしては、上記のように自分なりに理屈付けて覚えるのがおすすめなのと、弊社主催の講座でお配りしている便利な漢方の資料がありますので、ぜひチェックしてみてください(印刷環境の無い方には、有料販売もしております。)。