漢方には「証」という独特の概念があります。 証とは、簡単に言うと体質や症状のことです。証に合った漢方を服用することが非常に大事であり、証に合わない漢方を服用すれば、副作用が起こることもあります。
登録販売者試験の漢方の問題では、各漢方がどんな人に使われるのか?が問われることがあります。特に、各漢方の対象となる体質は、5段階で表されます。
上から下に向かって、「実」から「虚」の傾向になると押さえましょう。
ちなみに、以下のような表現も使われることがあります。
●体力に関わらず:虚実に関わらず幅広く用いられるもの。
●体力中等度以上:上の5段階の図でいうと、体力中等度から上の方に使えるという見方ができる。
登録販売者試験で出題される漢方はかなりたくさんありますので、全部覚えるのは難しいと思います。覚える際のコツがありますので、今回はそれについてお話をしていきます。「なぜその漢方の証が問われるのか」という出題者の意図を推測することが、まずひとつ大事なことですので、見ていきましょう。
排尿トラブルに使用される漢方
①牛車腎気丸…中等度以下
②八味地黄丸…中等度以下
③六味丸…中等度以下
④猪苓湯…関わらず
⑤竜胆瀉肝湯…中等度以上
排尿トラブルに使用される漢方は、ほとんどすべて体力中等度以下なので、例外の④⑤を特に覚えます。
⑤の竜胆瀉肝湯は、「瀉」という字が入っていますので、実証の人向けの漢方だと判断できます。逆に、「補」という字が入っていると、虚証の人向けの漢方だと判断できます。
※参考リンク:生薬・漢方、捨てても良いですか?
こちらの動画もご参照ください。
女性用漢方
①温経湯…中等度以下
②温清飲…中等度
③加味逍遙散…中等度以下
④桂枝茯苓丸…比較的あり
⑤五積散…中等度~虚弱
⑥柴胡桂枝乾姜湯…中等度以下
⑦四物湯…虚弱
⑧桃核承気湯…中等度以上
⑨当帰芍薬散…虚弱
女性用漢方は、ほとんどすべて体力中等度~虚弱ですので、例外となる④と⑧を特に覚えます。特に、④の桂枝茯苓丸は、超頻出なので確実に覚えましょう。
便秘症状に使用される漢方
①大黄甘草湯…関わらず
②大黄牡丹皮湯…中等度以上
③麻子仁丸…中等度以下
これらの漢方にはどれもダイオウが入っていますが、体力の有無についての記述はバラつきがあります。
この中で、一般用医薬品の便秘に用いられる漢方として最も汎用されているものは、①の大黄甘草湯で、体力に関わらず使えるというところがその大きな理由でしょう。大黄甘草湯は、タケダ漢方便秘薬でも有名なお薬です。
③の麻子仁丸はお年寄りの方によく使う漢方ですので、覚えておきましょう。
肥満に使用される漢方
①防已黄耆湯…中等度以下
②防風通聖散…充実
①も②も超頻出であり、この2つの漢方がシャッフルされて出題されることも多いので、真っ先に覚えましょう。両方とも「防」という漢字で始まる漢方なので、ひっかけにされることの多い漢方です。ちなみに、防已(ボウイ)も防風(ボウフウ)も生薬の名前です。
①も②も肥満のための漢方というわけではないのですが、漢方がニガテな方への導入としては、以下のような使い分けを覚えておくと分かりやすいです。
①防己黄耆湯…いわゆる水太りの人向け、虚証の方の肥満に使うと覚えます。
②防風通聖散…いわゆるビール腹の人向け、実証の方の肥満に使うと覚えます。「ナイシトール」に代表される漢方です。
漢方攻略のために…
漢方攻略のためには、生薬を攻略することが先決です。生薬を覚えるにはコツがあるので、それを知っていれば、数日で攻略することも可能です。
生薬一覧表や漢方一覧表もありますので、ぜひこちらのYouTube講義(やっけんちゃんねる)のページを見てみてください。