Q. 行政庁の監視・処分の問題を解くためのポイントを教えてください。

A. 3つのポイントを押さえれば、簡単に解けるようになります!

…が、先にこの問題に取り組むべき人についてお話しさせてください。

「行政庁の監視・処分」は、登録販売者試験の第四章に関する事項です。どちらかというと追い込みの時に取り組んだ方が良いところになりますので、該当しない方は飛ばしてください。

毎年、この項目について詳しく説明をしてほしいというリクエストをいただくのですが、前もってアドバイスしたいことは、第四章のうちここ以外の部分が仕上がっていない場合、学習に取り組むことはおすすめしません。細かい部分を覚える必要がある割に、問題数は毎年1問しか出題されないからです。

また、薬局や医薬品販売業の許可(店舗販売業、配置販売業、卸売販売業)に関する知識が不足していると理解しにくいので、自信のない方は復習を終えてからにしましょう。それらの知識が明確になっている方は、ここから先もスムーズに理解できると思います。

さて、この問題を解くにあたり、3つのポイントを書き出していきます。

「誰」が「誰に」命令を出すのかを把握しよう

この問題を攻略する最大のポイントは、「誰」が「誰に」命令を出すのかを把握することです。まず、「誰が」の部分には基本的に「都道府県知事」が入ります(ときどき「厚生労働省」の場合もある)。しかし、特に重要なのは「誰に」の部分です。

先ほど「薬局や医薬品販売業の許可(店舗販売業、配置販売業、卸売販売業)の知識が不足していると理解しにくい」と書きましたが、その理由は、「誰に」の部分には、主に薬局開設者または医薬品の販売業者のいずれかが入るからです。

さて、「誰に」の部分の最大の見極めポイントは、次の通りです。

ポイント①
「誰に」の部分に「管理者」が入っていないかどうかを確認しよう!

「誰に」の部分に「管理者」が入っている場合、「誤」と判断できます。例えば、以下の記述を見てみましょう。「誰に」の部分を赤字にしています。

都道府県知事は、店舗販売業における一般用医薬品の販売等を行うための業務体制が、基準(薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令)に適合しなくなった場合、店舗管理者に対して、 その業務体制の整備を命ずることができる。

【解説】
この記述では、「誰に」の部分が「店舗管理者」となっていますが、これは誤りです。正しくは「店舗販売業者」となります。このように「管理者」はよくあるひっかけ問題なので注意が必要です。

この関係性を理解するには、店舗販売業者を「会社」、店舗管理者を「店舗責任者」に置き換えて考えてみてください。ある店舗で起こっているルール違反は、同じ会社の他の店舗でも起こっている可能性がありますよね。もっと言うと、会社から指示されて行われているルール違反の可能性もあります。そこで、各店舗の責任者である「店舗管理者」ではなく、その元締めである「会社(店舗販売業者)」に対して警告するのです。

さらに、この記述は「店舗販売業における業務体制」についての話なので、「配置販売業者」などではなく、「店舗販売業者」が正解となります。

構造設備の問題に注意

もう1つ、よくあるひっかけ問題として、構造設備に関する問題があります。例えば以下の記述を見てみましょう。「誰に」の部分を赤字にしています。

都道府県知事は、配置販売業者に対して、その構造設備が基準に適合しない場合においては、その構造設備の改善を命じ、又はその改善がなされるまでの間当該施設の全部若しくは一部の使用を禁止することができる。 

【解説】
「配置販売業者」は誤りで、「薬局開設者もしくは医薬品の販売業者(配置販売業者を除く。)」が正しいです。なぜなら、配置販売業は店舗を持たない業態であるため、構造設備基準の適用外となっているからです。

薬局やドラッグストアを新規開業する際、クリアしなくてはならない要件がたくさんありますが、その1つに「薬局等構造設備規則」があります。薬局等構造設備規則には、店舗面積や照明の明るさなど、店舗の設備構造に関するルールが記載されています。つまり、店舗による販売形態である「薬局」や「店舗販売業」については、こちらの規則に従う必要があります

一方、配置販売業は店舗を持たない販売形態であるため、薬局等構造設備規則の適用外となっています。非常にマニアックな知識ですが、試験で狙われるポイントです。必ず押さえましょう。

ポイント②
構造設備の問題で「配置販売業者」ときたら、「誤」と判断しよう!

次に、以下の記述を見てみてください。

都道府県知事は、薬局開設者又は医薬品の販売業者(配置販売業者を除く。)に対して、その構造設備が基準に適合せず、又はその構造設備によって不良医薬品を生じるおそれがある場合においては、その構造設備の改善を命じ、又はその改善がなされるまでの間当該施設の全部若しくは一部の使用を禁止することができる。

【解説】
こちらの記述も構造設備に関する問題ですが、しっかりと「配置販売業者を除く。」と記載があります。従って、こちらの記述は「正」と判断できます。

何を「収去」するかに注目

収去に関する問題もよく出てきます。収去とは、その場から取り去ることを意味します。例えば以下の記述を見てみましょう。

都道府県知事は、薬事監視員に、当該店舗に立ち入りさせ、帳簿書類を収去させることができる。

【解説】
こちらの記述は「誤」です。帳簿書類については、検査させることはできますが、収去については定められていません。「収去させるもの」として定められているものは、帳簿書類ではなく、「無承認無許可医薬品、不良医薬品又は不正表示医薬品等の疑いのある物」です。従って、次のような記述であれば「正」となります。

都道府県知事、保健所を設置する市の市長又は特別区の区長は、当該職員(薬事監視員)に、無承認無許可医薬品の疑いのある物品を、試験のために必要な最少分量に限り、収去させることができる。

ポイント③
「無承認無許可医薬品、不良医薬品又は不正表示医薬品等の疑いのある物」は「収去」、「帳簿書類」は「検査」である!

まとめ:満点を目指したい方はぜひトライを!

行政庁の監視・処分の問題のバリエーションは、そんなに多くはありません。ここに書いてあることが理解できれば、この手の問題はほとんど正解できます。また、過去問を解いていれば、こちらに書いていないものについてもすぐに傾向がつかめますよ。

こわがらずにぜひトライしてみてください!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加