Q.分割販売における「特定の購入者」とは何ですか?

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質問の意図

「特定の購入者」ということばは、 医薬品の分割販売に関わる記述でよく目にします。

以下、登録販売者試験作成のための手引きから、分割販売に関わる部分を抜粋します。

「薬局、店舗販売業及び卸売販売業では、特定の購入者の求めに応じて医薬品の包装を開封して分割販売(いわゆる「量り売り」、「零売」と呼ばれることもある。)することができる。ただし、分割販売する場合には、法第50条の規定に基づく容器等への記載事項、法第52条の規定に基づく添付文書等への記載事項について、分割販売する薬局開設者又は医薬品の販売業者の責任において、それぞれ表示又は記載されなければならない。分割販売される医薬品の記載事項には、「分割販売を行う者の氏名又は名称並びに分割販売を行う薬局、店舗又は営業所の名称及び所在地」も含まれている。

ただし、医薬品をあらかじめ小分けし、販売する行為は、無許可製造、無許可製造販売に該当するため、認められない。 

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11120000-Iyakushokuhinkyoku/sikentebiki_4.pdf

今回のご質問はこの「特定の購入者」ということばが何を指すのか?という主旨になります。まずは、分割販売について整理しましょう。

分割販売できる業態

薬局+3種の医薬品販売業のうち、分割販売できるか否かは以下になります。

ポイント

薬局:分割販売○

店舗販売業:分割販売○

卸売販売業:分割販売○

配置販売業:分割販売×

このように、配置販売業以外は医薬品を分割販売できます

そんな場面に遭遇したことのない方の方が多いと思いますが、ドラッグストア(店舗販売業)でも医薬品の分割販売が可能ということになります。

たとえば、ドラッグストアにてお客さんに 「この薬の量が多すぎるから、分けて売ってほしい」と言われた場合、法律的には可能ということです。実際のところは、記載事項などルールがたくさんあるので、分割販売しない店舗が多いですが、特に漢方薬局や漢方薬店ですと、大容量の漢方を分割して必要量のみお客さんに購入してもらう行為はそこまで珍しい光景ではありません。

分割販売の最も重要なルール

とはいえ、何でもかんでも分割販売しても良いというわけではありません。いくつか条件があり、その中でも最も大事なことは、特定の購入者の求めに応じて分割販売を行うということです。

例えば、お客様からご要望があった時に小分けして用意することはOKですが、そういう求めが多いからと言って、先に作って棚に置いておくことはNGだということです。

あらかじめ作っておく行為は無許可製造になるので、言葉は悪いですが、簡単な話、密造・密売になってしまいます。

ポイント

①お客さまからの求めがあり、その場で医薬品を分割する場合:法律上OK

②お客さまの求めがあるだろうと考えて、前もって医薬品を小分けする場合:法律上NG

①の場合、目の前のお客さんに対して分割販売をしています。つまり、お客さんを限定しています。これが「特定の購入者」の意味になります。

一方、②の場合、お客さんを限定していません。不特定多数を対象としているため、「特定の購入者」にはなりません。

卸売販売業における「特定の購入者」

もう一点、もう少しディープな内容のご質問がありましたので、お答えします。ここまでマニアックな内容は試験には出ませんので、ご安心ください。

それは、 卸売販売業における「特定の購入者」とは誰なのか?というご質問です。

薬局やドラッグストアでは、主に個人のお客さまに分割販売をするイメージがなんとなく浮かぶと思いますが、卸売販売業も同じでしょうか?

卸売販売業は一般消費者に医薬品を売ってはならないというのが大原則になるので、もし分割販売をするとすれば、分割販売先は、薬局や病院、研究所などの施設になります。つまり、卸売販売業における「特定の購入者」というのは、一般消費者ではなく、 薬局の開設者や診療所の開設者という意味です。

余談ですが、卸売販売業の医薬品の販売先は、多岐に渡ります。実際の卸売販売業では、誰に何をどこまで売っていいのか?という問題がたびたび起こるため、以下のようなリストが厚生労働省から出ています。基本的には、その施設などが必要だと主張している医薬品の性質や数量などが理に適っているか?が焦点になります。

卸売販売業における医薬品の販売等の相手先に関する考え方について(厚生労働省医薬食品局総務課 )

以上です。

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