DayQuilもNyQuilも風邪薬で、それぞれ昼用と夜用の成分になっています。セットで売られていることもあります。商品名も、デイ&ナイトから来ています。
成分
デイクィルもナイクィルも、以下の2成分は一緒です。
acetaminophen:アセトアミノフェン 解熱鎮痛剤
dextromethorphan HBr:臭化水素デキストロメトルファン 咳止め
これらのお薬の違うところは、鼻症状に効く成分です。
ナイクィル doxylamine succinate:コハク酸ドキシラミン
デイクィル phenylephrine hydrochloride:フェニレフリン塩酸塩
が入っています。ドキシラミンは、第一世代の抗ヒスタミン剤の一種で、副作用ですごく眠くなります。日本では承認の下りていない成分ですが、欧米ではこの副作用を利用して、睡眠改善薬の成分としても使われています。一方、フェニレフリンは血管収縮薬で、鼻づまりの症状によく使われる成分です。
つまり、ナイクィルは夜によく眠れるような成分配合になっていて、デイクィルは昼に眠くなりにくい成分配合になっているということです。
日本での代替品
デイクィルがほしいと言われることはめったにないのですが、ナイクィルがほしいと言われることはたびたびあります。さて、眠くなる風邪薬、ナイクィルの代わりがほしいと言われた時にどの風邪薬を勧めるか考えてみましょう。以下を考慮して選んでみてください。
・第一世代の抗ヒスタミン剤が配合され、かつその中でも眠くなりやすい成分が含まれている
・カフェインが入っていない
・交感神経刺激薬が入っていない
これらを総合的に考えて、個人的には、パブロンSゴールドW錠を勧めていました。こちらのお薬の成分は以下の通りです。クロルフェニラミンは1日量が7.5㎎なので、人によっては眠気の出やすいdl体だと考えられます。
パブロンSゴールドW錠の組成
・アンブロキソール塩酸塩:去痰薬
・L-カルボシステイン:去痰薬
・ジヒドロコデインリン酸塩:咳止め
・アセトアミノフェン:解熱鎮痛剤
・クロルフェニラミンマレイン酸塩:鼻炎薬
・リボフラビン(ビタミンB2)
ただし、このようなお薬を勧めるときは、くれぐれも服用後に車の運転や危険な作業等は控えるようにお伝えください。
日本の昼夜タイプの薬
日本にも昼夜タイプに分けられている風邪薬はありますが、実は主成分は全く一緒で、夜用にはカフェインが入っておらず、昼用にはカフェインが入っているだけというものばかりです。デイクィル・ナイクィルのように主成分から違うものとは、コンセプトが異なります。
よくジョークで言われることですが、日本人は風邪の日も働かなくてはならないという方が多いので、眠くなるコンセプトの風邪薬は、ニッチな市場になってしまうのでしょう。
ところで、ナイクィルにはひとつ問題があります。それは、とにかくカプセルのサイズが大きいということです。大きい液体カプセルをふたつも飲まなくてはなりません。薬のサイズについて書いたコラムがありますので、ご興味のある方は、文化の違い:薬のサイズのノートを見てみてください。