恋愛で学ぶ!抗コリン薬

登録販売者で苦手に思う方が多い、抗コリン薬、抗コリン作用。抗コリン薬でどのような症状が改善され、あるいはどのような副作用があるのかはなんとなく分かるという方は多いですが、結局のところなぜドラッグストアで抗コリン薬の扱いに注意が必要なのか理解している方は少ないように思えます。

理解してしまえばとっても簡単ですし、からだのことがよく分かって楽しいので、一緒に学んでいきましょう。抗コリン薬について学ぶには、まずは自律神経系について学ぶことが重要ですが、理解しやすいように、恋愛の概念をふんだんに取り入れて解説していきます。

自律神経とは

自律神経とは、自分の意思ではコントロールできない神経のことを言います。例えば、内臓の動きは、恋心と一緒で、

「止まれ、この胸の高鳴り!」

と一生懸命念じても制御できませんね。このように、私たちの知らないところで体を維持してくれている神経を自律神経と言います。

そして、自律神経には、交感神経副交感神経の2つがあります。交感神経と副交感神経は、相反するはたらきをしていて、常にこの2つの神経系がシーソーのようにバランスを取っています。

交感神経と副交感神経の違い

イメージとしては、交感神経が緊張状態、副交感神経がリラックス状態をあらわしています。しかしここではもっとわかりやすく、恋愛に例えてみましょう。まずは、恋をするとよくあることを下に挙げていきます。

・最近かわいくなったとみんなから言われる

・あの人と少し話しただけなのに、もうのどがカラカラ❤

・あの人をちょっと見かけただけなのに、この胸の鼓動が止まらない…

・あの人の事を考えると、ごはんがのどを通らない…

・デートは美しい状態でいたい!

これはすべて、交感神経優位の状態として説明ができます。恋をすると興奮状態に陥り、交感神経が活発になります。左のピンク字は、交感神経が優位のときの体の動きです。

瞳孔散大:瞳孔が開くと目が大きく見える→最近かわいくなったとみんなから言われる

唾液分泌減少:唾液が減る→あの人と少し話しただけなのに、もうのどがカラカラ❤

心機能亢進:鼓動が速くなる→あの人をちょっと見かけただけなのに、この胸の鼓動が止まらない…

胃液分泌抑制:胃の動きが悪くなる→あの人の事を考えると、ごはんがのどを通らない…

末梢血管収縮&膀胱弛緩(※):鼻水&おしっこが止まる→デートは美しい状態でいたい!

※間違いがちですが、膀胱弛緩=膀胱が膨らんで尿をためることが出来る、ということです。

つまり、恋をするときれいになると言われるのは、瞳孔がひらき、食欲がなくなって痩せるからなんですね。そして、憧れのカレとデートするときに、よだれや鼻水が飛び散ったり、しょっちゅうトイレに行きたくなったりしたら嫌ですね。交感神経優位ということは、恋愛戦闘力が上がった状態になるということです。

そして、副交感神経優位の状態は、交感神経優位の状態と逆になります。リラックスしているときの状態ですから、鼓動はゆっくりになります。また、食事のときは消化促進のために唾液の分泌が増え、食べた後休んだ方が良いと言われるのは胃の動きが活発になるからです。

交感神経と副交感神経のまとめ

もちろん例外はあるのですが、まとめとしてこれだけ押さえておくと、頭の中がとても整理されます。

・交感神経が優位になると、体液が出にくくなる

・副交感神経が優位になると、内臓の動きが活発になる

では、ここでいよいよコリンの話になります。本題に入っていきましょう。

アセチルコリンとは?

アセチルコリンは神経終末部で合成される、神経伝達物質です。副交感神経を刺激してさまざまな作用を及ぼします。どのように作られるかというと、

コリン+アセチルCoA → アセチルコリン

となります。しかもこの合成はとてもエコロジーで、不要となったアセチルコリンは分解されてコリンに戻り、この合成のために再利用されます。つまり、

アセチルコリン → 酢酸+コリン

となります。

まずは、アセチルコリンは副交感神経を刺激するということを頭に入れてください。

抗コリン薬

抗コリン薬とは、ざっくりというと、「アセチルコリンに抗う薬」ですね。すなわち、副交感神経を下げて、交感神経優位の状態を作り出すということです。では、OTC医薬品の抗コリン薬の中で、有名なものを解説していきます。

ブスコパン(ブチルスコポラミン)

ブスコパンは胃の痙攣を止めるお薬です。では、どうして痙攣を抑えることができるのかというと、

→アセチルコリンが、胃壁にある胃を動かすスイッチを押すと、胃の動きが活発になる

→つまり、アセチルコリンがそのスイッチを押せないように何かで邪魔すれば、胃の動きが抑えられる

ということです。このアセチルコリンを魔する何かがブスコパンです。ブスコパンとアセチルコリンが「よーいドン!」で、スイッチを押しに行くのです。すると必然的に、アセチルコリンがスイッチを押す確率が低くなりますね。すると、胃の動きを抑えられるわけです。

更に、ここに出てきたスイッチなるものは、ムスカリンM3受容体と呼ばれます。そこで、ブスコパンはM3受容体遮断薬とも呼ばれます。

いわゆる一般的な抗コリン薬とは、M3受容体遮断薬のことを指します。

 

ガストール(ピレンゼピン塩酸塩)

ピレンゼピン塩酸塩は、M1ブロッカーともいわれる、胃酸の出すぎを抑えるお薬ですね。ではなぜこのような効果があるのかというと、

副交感神経節にあるスイッチAが押されると、アセチルコリンが放出する

→アセチルコリンが、胃壁にある胃酸を出すスイッチBを押すと、胃酸が分泌される

→大元にあるスイッチA邪魔してアセチルコリンの放出を減らせば、スイッチBも押されにくくなる

ということです。すなわち、スイッチAを邪魔するものが、ピレンゼピンということです。また、ここで出てきたスイッチAムスカリンM1受容体で、スイッチBはブスコパンの説明の時にも出てきたムスカリンM3受容体です。つまり、ピレンゼピンは、M3受容体を直接遮断するのではなく、M1受容体を遮断するということです。これがM1ブロッカーと言われる理由です。

ピレンゼピンの利点として、M3受容体を直接ブロックしているわけではないので、ブスコパンなどの抗コリン薬のような消化管運動抑制作用はほとんどありません

抗コリン作用による副作用

抗コリン薬の副作用は、自律神経系を勉強してきたあなたにはもう説明の必要すらありません。なぜなら、

抗コリン作用=アセチルコリンに抗う=副交感神経下がる=交感神経優位になる

この図式が頭に入っているからです。すなわち、交感神経優位の状態が過剰になったときの症状が、そのまま抗コリン薬の副作用となります。

・口の渇き: 腺分泌の抑制…唾液が少なくなる

・排尿障害: 排尿筋(膀胱平滑筋)の弛緩…尿が出にくくなる

・緑内障の悪化: 眼圧上昇…房水を排出できなくなる

・心臓病の悪化: 心臓の興奮…鼓動が速くなる

まとめ

薬理作用は暗記せずに体のはたらきと一緒に勉強していくと、驚くほどすんなり頭に入ります。抗コリン薬も自律神経系をしっかりマスターすることが理解への近道となります。ぜひ復習してみてください。

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